[ソウル=ヘルスコリアニュース] 乳がん手術はがんの治療だけでなく、乳房を切除した後、胸の形を以前のように維持したり、新しく作る「再建」が重要な手術である。
乳房を切除すれば外見に大きな変化が生じるが、外見の急激な変化は精神的衝撃と憂鬱感、そして大きな喪失感を抱かせる。 それだけでなく、節制された片方の胸によって体のバランスが崩れて脊椎が曲がったり変形する場合があり、乳房が節制された片方の腕と肩の動きが低下する問題が発生することもある。 美容的·心理的な問題はもちろん、日常生活と活動のためにも乳房再建手術は選択ではなく必須と言っても過言ではない。
このような乳房再建手術は、大きく自己組織を利用する方法と組織拡張期及び乳房保形物を利用する方法に分けられる。 自家組織を利用した手術には、自分の腹肉(腹直筋皮弁)または背肉を移植する方法が主に行われ、このうち腹肉の腹直筋皮弁を利用した乳房再建手術は、安全性が検証された良い手術とされている。 しかし、手術過程の難易度が高く、組職を採取した腹部に脱腸や腹壁弱化などの合併症が発生する恐れがあるため、腹部の合併症を最小化することが何より重要だ。
プンダンソウル大学病院形成外科(ミョン·ユジン、チョン·ジェフン、ホ·チャンヨン教授)研究チームは、腹直筋皮弁(腹部の皮弁)を利用した乳房再建手術後の合併症発生率および危険要因を確認するための研究分析に乗り出した。
まず研究のため、2006年から2019年までプンダンソウル大学病院で腹直筋皮弁を利用して乳房再建手術を受けた568人(平均48.7歳)の詳しいデータ、すなわち身長、体重、年齢、疾病歴、手術時に採取される腹壁筋膜の量、乳がん切除手術の種類、手術後の抗がんおよび放射線治療など計13のデータを機械学習(マシンラーニング)プログラミングで分析し、合併症に影響を及ぼす要因を把握した。
分析の結果、患者の個別の危険度に応じて、手術後の合併症頻度が高いと26%(高危険群)、低いと1.7%(低危険群)まで大きな差を見せたが、特に手術時に採取される腹部皮弁組織の量を基準に37.5㎠以上であれば高危険群、その未満であれば低危険群に属するものという結果が出た。 さらに、普段患っている個人の病歴によって、合併症の危険度がさらに高まることも確認された。
こうした結果について研究陣は「乳房再建手術に必要な腹部の肉を取り除くと腹部側に予期せぬ合併症が伴うことがあるが、これを予防するためには手術の途中で損傷を受ける腹部組織の量を最小限に抑える必要がある」とし、「これと共に手術前の患者の状態に対する評価、特に危険度が高かったり手術後の抗がん治療および放射線治療を控えていないかを調べながら、合併症早期予防のためのリハビリ治療を前もって行うことも重要だ」と説明した。
今回の研究で注目する部分は、人工知能(AI)機械学習を通じて、乳房再建手術と関連して現れる合併症について分析したという点だ。 プンダンソウル大学病院·形成外科医療陣は、この10年以上の間、乳房再建手術の計画段階から手術後の管理による患者データ分析を通じ、合併症の危険度を減らせるシステムを考案してきた。
研究を主導したミョン·ユジン教授は「機械学習を通じたデータ分析は以前まで可能でなかった情報とデータを提供することができ、これは再建手術領域でも同じである」とし「このような分析システムは患者にはより安全で合併症のない手術結果を与えることができ、医療陣には合併症の危険度を事前に測定·予想できるようにし、結果的に予後を向上させる根拠と情報を用意することができる」と述べた。
今回の研究論文は国際学術誌「サイエンティフィック·レポート」3月号に掲載された。