[ソウル/ヘルスコリアニュース] 膵臓細胞に存在するCDH11(cadherin11)というたんぱく質の発現を減らせば、膵臓癌の成長を遅らせ、生存期間も延長できるという研究結果が出た。 CDH11の生成を抑制する薬物も研究過程で一緒に開発され、まもなく人間を対象にした臨床実験が進められる予定。 成功すれば、膵膓癌治療に画期的な進展をもたらすものと期待される。
膵臓癌は非可逆的な形態的、機能的変化が発生した「線維化(fibrosis)」が特徴であるが、この過程では癌細胞周辺に発現するCAF(癌関連線維化合物、cancer-associated fibroblasts)が主な役割を果たす。
米国ジョージタウン大学ロンバルディアムセンター(Georgetown Lombardi Comprehensive Cancer Center)の研究チームは、まず繊維化の過程で単にCAFを抑制することはCAFの過多発現を誘発し、膵臓癌をさらに促進させるという事実を確認した。
研究に参加したジョージタウン大学腫瘍学科のイバナ·フェラン教授は「これがCAFの二重の役割」と説明し、「この結果を通じて、単にCAFの発現だけを抑制するのは答えではないことを把握し、次の段階として繊維質と免疫細胞、がん細胞が交差する微細環境を変えてこそ腫瘍の成長を防ぐことができるという仮説を立てた」と説明した。
したがって、研究チームは膵臓癌細胞からCAFと癌細胞を結合させる接着分子「CDH11」に焦点を合わせて膵臓癌細胞をネズミに移植した後、CDH11を除去して予後を観察する実験を行った。
実験の結果、CDH11が除去されていないマウスは移植した腫瘍の成長が早く、平均生存期間は17日に過ぎなかった。 一方、CDH11を除去したネズミは成長が遅く、平均生存期間も101日に延びた。
また、「CDH11」が除去されたマウスは化学抗がん剤「ゼムシタビン(gemcitabine)」の治療効果も大きく、免疫抑制用途も改善された。
研究チームは「単にCAFの発現だけを抑制するのではなく、繊維質と免疫細胞、がん細胞を結合して繊維化を促進するCDH11の生成を防ぐのが膵臓がん治療の鍵になるという事実を明らかにしたという点で今回の研究の意義が大きい」と明らかにした。
ジョージタウン·ロンバルディがんセンター腫瘍学科のスティーブン·バイアス教授は「ネズミ対象のCDH11実験の結果を基にCDH11を抑制できる薬物を開発し、その効果も確認した」とし、「この薬が人にも使用できるかどうかに対する臨床実験を計画中」と述べた。
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